【和訳&解説】Beyoncé & Shaboozey - SWEET ★ HONEY ★ BUCKIIN'
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Part I: SWEET
I fall to pieces
Each time I see you there
And I miss all our secrets
So tell me how you've been
心が張り裂けそう
あなたの姿を見ると いつも
私たちの秘密 そのすべてが懐かしい
だから教えて あれからどうしてたの(1)
Lucchese the boots, check
You can hear when I step, step
Bought a Chevy and painted it red
Money long, it can't fit in the bed
It don't matter what nobody says
Country boy 'til the day that I'm dead (Yee-hoo)
You want smoke, I'm the Marlboro man
Cut it out 'fore it get outta hand, ayy
This ain't Calabasas, we don't need highways
We can take backroads (Take backroads)
Never been ridin', baby? Step in that stirrup
Hop on my saddle (Hop on my saddle)
Snake on my feet, they rattle (Ooh)
And the bag, only thing gettin' lasso'd, yeah (Gettin' what?)
And I'm still goin' up like a ladder (Uh)
And I'm still in the field like cattle
ラッチーズのブーツを履いて(2)
足音で俺だと分かるだろ
シボレーを買って 真っ赤に塗りたくった
金は手に余りすぎて ベッドにも収まらない
誰が何を言おうと関係ない
俺は死ぬまでカントリー・ボーイ
やるのか 俺はマルボロの男(3)
手に負えなくなる前に やめといた方がいい
ここはカラバサスじゃない だからハイウェイなんていらない(4)
脇道を走らせればいい
乗ったことないのか? 鐙(あぶみ)に足をかけて
俺の鞍(くら)に飛び乗って(5)
足元の蛇が ガラガラと音を鳴らしてる(6)
投げ縄で捕まえられるのは バッグだけ(7)
はしごのように 高みへ上っていくけど
ルーツは忘れてない(8)
The Cadillac back on the road, we takin' route 44
Just say what you need from the store, oh, oh
Put some grits on the stove
Jiffy cornbread, booty cornfed
Body rolls at the rodeo
I'm coming home, ooh
Ridin' through just to put my eyes on you
You are the superstar
Everybody's drivin' old new cars
Turn a bad night to a good time
On a trail ride to the zydeco
I'm coming home
またキャデラックを走らせて 44号線を行く
なにか買っとくものがあったら言ってね
グリッツを温めておいて
ジフィーのコーンブレッド コーンのお尻(9)
ロデオで体が揺れる(10)
もう故郷に帰ることにした
馬に乗って駆け抜ける あなたの姿を見るために
あなたはスーパースター
みんな古い新車を乗り回してる
眠れない夜を お楽しみの時間に変えるよ
馬に乗ってザディコへ向かうわ(11)
故郷に帰ることにしたから
I'm coming home (I'm coming home, I'm coming home)
I'm coming home (I'm coming home, I'm coming home)
We've come a long way from the rough ride
From the railroads to the rodeos, sweet country home
わが家へと帰るわ
わが家へと帰るわ
ここまで長い道のりだった 苦境に立たされ
鉄道からロデオ そして愛しき故郷へ(12)
This for my, this for my
She gone
Ride for your cowboy
And throw that sweet honey on it
この曲を 捧げます
彼女は もう去った
カウボーイのためなら 身を投げ出す覚悟で乗り回して(13)
それから甘いハニーも足してね
Part II: HONEY
So come (So come) with me (With me)
To new life (Sticky, sticky, sticky, sweet)
(New life)
You're stuck (You're stuck) to me (To me)
All night (Sticky, sticky, sticky, sweet)
(All night)
Foot of flower and spice (Hot, hot, hot, hot)
(Flower and spice)
Stuck in me all night (Sticky, sticky, sticky, sweet)
(Stuck in me all night)
だから 私について来て
新たな幕開けへと(ベタベタで ベタベタで ベタベタで 甘い)
あなたは 私から離れられない
一晩中(ベタベタで ベタベタで ベタベタで 甘い)
お花の足元と スパイスが(ホットで ホットで ホットで ホット)
一晩中 私の頭から離れない(ベタベタで ベタベタで ベタベタで 甘い)
Honey (We're), hey (Ridin')
Hey (Through the), ooh (Night)
Honey (We're), yeah (Ridin')
Yeah (Through the), taste like (Night)
Honey (We're), hey (Ridin')
Oh (Through the), taste like (Night)
Honey (We're), ayy (Ridin')
Ayy, think of my
ハニー(俺たち)ねえ(馬に乗って)
ねえ(駆け抜ける)うぅ(夜の闇を)
ハニー(俺たち)ええ(馬に乗って)
ええ(駆け抜ける)まるで(夜の闇を)
蜜の味(俺たち)ねえ(馬に乗って)
おぉ(駆け抜ける)まるで(夜の闇を)
蜜の味(俺たち)えぃ(乗りこなす)
えぃ 思い浮かべて
Part III: BUCKIIN'
Buckin' (Yeah), buckin' (Yeah)
Buckin' (Yeah), woah (Yeah)
Buckin' (Yeah), buckin' (Yeah)
Buckin' like a mechanical bull
Buckin' (Yeah), buckin' (Yeah)
Buckin' (Yeah), woah (Yeah)
Buckin' (Yeah), buckin' (Yeah)
A good night (Yeah) flow, money is full (Yeah)
Look at that horse, look at that horse
Look at that horse (Look at that horse)
Pretty as hell, au naturel
Dinin' on farce (Dinin' on farce)
Buckin', buckin'
Woah, buckin' (Yeah)
Buckin' (Buckin'), a good night
Woah, yeah
私がバッキンしてる姿を(14)
バッキン わお
バッキン バッキン
バッキン 機械じかけの雄牛みたいに
バッキン バッキン
バッキン わお
バッキン バッキン
グッドナイトフローに お金が詰まってる
あのお馬さんを見て あの馬を あの馬を
とんでもなく美しい 自然体のままで
肉詰めを食事に(15)
バッキン バッキン
わお バッキン
バッキン おやすみ
わお
Your patience is thin (Uh-huh)
Your hormones is right at the rim (Ow)
You was just goin' in (Uh-huh)
Fuck it, do it again (That's cool)
A-O-T-Y, I ain't win (That's cool)
I ain't stuntin' 'bout them
Take that shit on the chin
Come back and fuck up the pen (Yeah)
あなたの我慢も そろそろ限界
ホルモンが今にも溢れ出しそう
その身ひとつで突っ込んでいって
ちょっと もう一回やって
AOTYは 私には獲れない(16)
でも そんなもので着飾る必要はない
敗けを受け入れて
へこたれずに また必死に書き続けるだけ
Say the things that I know will offend (Huh, yeah)
Wear that shit that I know start a trend (Uh)
Take the Bugatti out for the spin (Ooh)
Ain't no top, feel the wind on my skin
Ooh, ooh, ooh, snakes on the den (Uh)
They hissin', don't listen to them (That's cool)
They bite every once and again (Uh-huh)
But it gets stomped down when we
わざと挑発的な発言をして
イケてる服で トレンドを発信する
ブガッティを軽く走らせて
コンバーチブルで 肌に風を感じる
蛇たちが 巣穴からこっちを睨んでるよ(17)
舌を出しながら音をたててる でもそんなの気にしない
たまに凶暴に噛みついてくるけど
でも簡単に踏み潰されちゃう 私たちの...
Buckin' (Yeah), buckin' (Yeah)
Buckin' (Yeah), woah (Yeah)
Buckin' (Yeah), buckin' (Yeah)
Buckin' like a mechanical bull
Buckin' (Yeah), buckin' (Yeah)
Buckin' (Yeah), woah (Yeah)
Buckin' (Yeah), buckin' (Yeah)
A good night flow where the money is full
Look at that horse, look at that horse
Look at that horse (Look at that horse)
Pretty as hell, au naturel
Dinin' on farce
Uh, buckin'
Woah, buckin'
Buckin' (Mm-hmm)
バッキンに バッキン
バッキン バッキン わお
バッキン バッキン
バッキン 機械じかけの雄牛みたいに
バッキン バッキン
バッキン わお
バッキン バッキン
そのグッドナイトフローに お金が詰まってる(18)
あのお馬さんを見て あの馬を あの馬を
とんでもなく美しい 自然体のままで
肉詰めを食事に
バッキン
わお バッキン
バッキン
They yankin' your chain (Yankin' your chain)
Promisin' things that they can't (Things that they can't)
You the man at the bank? (Bank)
Is you is or you ain't? (Is you is or you ain't?)
Hit the runway, I'm late (The runway, I'm late)
Pop-pops got pictures to take (Take, take)
It's in my DNA (Ayy)
Look at my mama, it's a trait
彼らは みんなの鎖を引っ張る(19)
守れない約束で 人々を騙す
あなた銀行にいた人?
そうなの? そうじゃないの?
ファッションショーを始めて 遅刻しても気にしない
おじいちゃんたちも 写真を撮るのに夢中
それは このDNAに刻まれてる
私のママを見てみなよ そういう性(さが)なの
Say the things that I know will offend (Woo)
Wear that shit that I know start a trend (Woo)
Take the Bugatti out for the spin
Ain't no top, feel the wind on my skin
わざと挑発的な発言をして
イケてる服で トレンドを発信する
ブガッティを軽く走らせて
コンバーチブルで 肌に風を感じる
Ooh, ah
Buckin', woah
Buckin', buckin'
Buckin' like a mechanical bull
バッキン わお
バッキン バッキン
バッキン 機械じかけの雄牛みたいに
Beyoncé & Shaboozey – SWEET ★ HONEY ★ BUCKIIN' Lyrics | Genius Lyrics
(1)この曲のイントロでは、パッツィー・クラインの『I Fall To Pieces』を一部引用
(2)Lucchese(ルケーシー)は、主にカウボーイブーツなどのウェスタンフットウェアを展開する、テキサス州が拠点のラグジュアリーなアパレルブランド。ちなみに、お値段は庶民にはとても手が届かないほど高いです。
(3)マルボロ・マンというのは、マルボロの広告に登場する男性モデルのこと。「喧嘩」や「いざこざ」といった意味合いの「smoke(煙草)」というスラングと掛けられています。
(4)カリフォルニア州ロサンゼルスのカラバサスは、セレブが多く住んでいる地域として知られる高級住宅街。シャブージーは、それよりも米南部のような、のどかな風景が広がる田舎の方が自分には合っているとラップしています。
(5)鐙と鞍は、どちらも馬具のこと
(6)「蛇」は、英語のスラングで「嘘つき」や「陰口を言う陰湿な人」といった意味
(7)「バッグ」は「女」または「お金」を意味するスラング
(8)in the field=野放しでいる、ある分野(カテゴリー)に精通しいてる。ここでいう「あるカテゴリー」というのは、先述の歌詞にある「カントリー・ボーイ」という言葉からして、カントリー音楽のこと。米南部の田舎の牧場で家畜が放牧されているような、のどかな情景を思い浮かばせる、また黒人のカウボーイへのトリビュートともとれる「畜牛(cattle)」という言葉をつけ足して、ダブルミーニングにしています。
(9)「グリッツ」は、主にアメリカ南部で親しまれている、とうもろこしを粗く砕いてオートミールのようにして食べる料理のこと。「コーンブレッド」は、トウモロコシの粉から作るケーキのような甘いお菓子のことで、そのミックス(ホットケーキミックスのように最初から砂糖や小麦粉などが混ざったもの)の有名なブランドが「ジフィー」。
「コーンのお尻(私のお尻はコーンでできている)」というビヨンセ流の言い回しは、とうもろこしが多く食されるアメリカの南部で、たくましく生きる女性のことを指しています。
(10)「ボディー」は「車体」と「人間の体」とのダブルミーニング。「ボディー・ロール」と呼ばれる、体全体を波のようにセクシーにくねらすダンスの動きもあるそう。
(11)ザディコは、20世紀初めにルイジアナクレオールの人々によって生み出された音楽ジャンル。「馬に乗ってザディコに向かう」という歌詞は「トラブルから逃れて、音楽を純粋に楽しめる場所へと向かう」という意味だと考えられています。
(12)「長い道のり」というのは、黒人・アフリカ系アメリカ人が辿ってきた歴史を意味していて、「苦境」を意味する「rough ride(=荒れた船旅)」は、17~18世紀の三角貿易で、アフリカからアメリカ大陸に奴隷として運ばれた黒人の苦難を表し、その後の「鉄道」は、南北戦争以前に黒人奴隷によって建設された鉄道と線路、または19世紀に奴隷制度が根強く残っていたアメリカ南部から北部へと黒人の奴隷を秘密裏に逃がすために張られた「地下鉄道」と呼ばれる鉄道網のことを指していると思われます。
そして「ロデオ」というのは、南部で畜産業を営む黒人のカウボーイを意味し、「愛しき故郷」は、黒人にも人権が認められた現代のアメリカを指していると思われます。
(13)ride for ~(ride or die for ~)=困難な状況の中でも、~のために立ち上がる、~を守る、といった意味のスラング。ここでは、性的な意味での「乗る」、また「乗馬する」と複数の意味も掛けられていると思われます。
(14)バッキン(バッキング)というのは複数の意味を持った言葉で、その1つめは、ヒップホップやブレイクダンスなどのスタイルを掛け合わせて作られた、テネシー州メンフィスを拠点とするアーバンダンスの一種。2つめは、法に背いて生きるならず者やギャングなどを指した呼び名。3つめは、ロデオなどで馬や牛が後ろ足を激しく蹴り上げたり、上に乗っている人を振り落とそうとして見せる動きのこと。
(15)ここに出てくる「farce」という単語もダブルミーニングを持った言葉で、1つめは、ビヨンセのルーツであるルイジアナのクレオール文化、またその原点となるフランス文化(クレオールとは、ルイジアナなど米南部に入植したフランスなどのヨーロッパ系の移民や、その子孫となる人々のこと)において、料理の詰め物などとして使われる、あらかじめスパイスや調味料などで味がつけられたミンチ肉のこと。
また「真面目にやろうとしているのに、結果的に笑い者になってしまった人」、転じて「茶番」や「おふざけ」を意味する言葉でもあり、ビヨンセに対して、あたかも正論を言っているかのように悪口をぶつけてくる人たちや、後の歌詞にも出てくる、ビヨンセに主要部門を獲らせないグラミー賞を、皮肉を込めて「茶番」だと切り捨て、そんなのは「食いつぶして」しまおうと歌った歌詞だとも解釈できます。
さらに「自然体のままで美しい」という先の歌詞から、「茶番」というのは「自然体ではない人たち」つまり「嘘で着飾った人たち」のことを指しているという説も。
ちなみに、その前の歌詞に出てくる「あの馬を見て、馬を見て、馬を見て」と繰り返すフレーズについては、シリアスでパーソナルな歌詞が並ぶ『Daddy Lessons』がカントリー音楽として受け入れられなかったことに対抗して、典型的な「カントリーっぽさ」を体現する「馬」というワードを半ば滑稽に連呼していれば、カントリーだと認めてくれるでしょ、といったビヨンセ流の皮肉だとも受け止められています。
(16)AOTYは、グラミー賞の主要4部門(アルバム、レコード、歌曲、新人賞)のうちのひとつである、最優秀アルバム賞(Album Of The Year)を指していて、ビヨンセは、2013年の『Beyoncé』、2016年の『Lemonade』、2022年の『RENAISSANCE』で、その年の最優秀アルバム賞の最有力候補だと目されていたにもかかわらず、いずれも白人アーティストのアルバムに競り負けて受賞を逃しています。
ビヨンセは史上最もグラミー賞の受賞回数が多いアーティストであるにも関わらず、主要4部門を受賞したことは一度もなく、それにはグラミー賞を主催する団体や投票層の人種差別的、また女性差別的な思想や、体制的、組織的な人種差別が原因の根本にあると言われています。2017年のグラミー賞で、ビヨンセの『Lemonade』を抑えて最優秀アルバム賞を受賞したアデルが、受賞スピーチの中で「この賞は受け取れません」と言ったことも有名です。
その後の歌詞では、たとえ賞を獲れなくとも、そんなことは気にせず己の信念に従って曲を書き続けるだけだ、とも歌われています。
(17)「hiss」というのは、蛇がシーシーといった音を鳴らす様子のことで、英語で「蛇」は「陰湿な人」や「嘘つき」を指したスラング。この部分の歌詞で歌われている「巣穴にいる蛇」というのは、ビヨンセが『Daddy Lessons』をリリースした際や、同曲をアワード賞でパフォーマンスした際に否定的な意見をぶつけた、また黒人アーティストがカントリー音楽を歌うことに否定的な意見を持った、カントリー音楽界の保守層のことだと思われます。
ちなみに、カントリー音楽は、現代では保守的な白人のファン層が大きいイメージも持たれますが、元々は黒人が生み出し発展させてきた音楽で、一部では「白人によって奪われた」音楽だとも言われています。
(18)フローは、そのアーティスト独自のラップスタイルや、独自のメロディーやビートに乗せてラップすることを指したヒップホップ用語。「グッドナイトフロー」は、カントリーからラップまでを自在に歌いこなすビヨンセの「曲」のことを指していると思われ、それが「大金を生み出す」と語った歌詞だと解釈できます。
(19)「鎖を引っ張る(yank someone's chain)」というのは、誰かを「騙す、欺く、食い物にする」といった意味の慣用句で、その後の歌詞に出てくる「銀行」というワードから、これは主に黒人をターゲットにした、銀行の搾取的な貸し付けを指していると思われます。
あくまで白人ではなく黒人の庶民層を標的にして、彼らが家を購入する際などに、合理的なローンだと見せかけ法外な額の利子で貸し付けをさせ、結果的にその借人を破産に追い込むといった銀行の手口が、公民権運動(人種差別撤廃や人種の平等などを訴えた社会的運動)が活発化した時代から、2008年頃まで横行していたのだそう。
『COWBOY CARTER』を全曲【和訳&解説】